扇風機

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扇風機(せんぷうき)は、回転する羽根によってを発生させる冷房用機器。一般に扇風機といった場合には、電気扇風機を指す。換気扇同様、送風機に分類される。

電気扇風機[編集]

電気扇風機(でんきせんぷうき)は、主にの暑い日に使用される電気製品である。モーターにプロペラファンを連結し、モーターによってファンを回転させ、風を発生させる。

世界初の電気扇風機は19世紀後半、モーターの発明とほぼ時を同じくして米国で発売開始された。直流に執着し、直流による発送電を行っていたトーマス・エジソンは直流モーターの扇風機を発売するが、交流発送電が主流になるにつれて、主流は交流式となった。

日本ではゼネラル・エレクトリック (GE) の技術で東芝の前身である芝浦製作所が1894年(明治27年)に発売したものが最初である。本体に電球を備え付け、スイッチを入れるとプロペラが回るとともに電球が点灯するものであった。また川崎重工業の前身である川崎造船所は、左右だけで無く上下の首振りも同時にする、2軸リンクの扇風機を発売した。

扇風機は家屋鉄道車両の室内などで広く利用され、夏の風物詩の一つでもあった。しかし、低価格化したエアコンが普及した現代では、それに取って代わられつつある。一方で、扇風機には窓を開放した状態でも使用できるという利点があるほか、室内の空気を撹拌し冷暖房を補助する、エアサーキュレーターとしても使われることがある。

種類[編集]

床置き用[編集]

床に置いて使用するもので、古くから使われている形状である。高さによって通称が異なり、低いものは主に和室で使われていることからお座敷扇(おざしきせん)、高いものは主にリビングルーム(居間)で用いられることからリビング扇(リビングせん)とも呼ばれる。

  • 高さは70cm程度で、首を伸ばすことでさらに20cm程度高くすることができる。
  • 羽根は、三枚から五枚で、直径は約30cm又は35cm。
  • 上下方向への角度調節、左右90度の自動首振りができる。中にはクランクの固定位置を変えて高角度で首振りができるものや360°回転するもの、8の字に首振りするものもある。
  • 風量・羽根の回転速度は、三段階程度の切り替えができる。「微風(1)・涼風(2)・強風(3)」。古いものでは、4段階切り替えのものもあり、「超微風・微風・涼風・強風」となっていた。
  • 機種にもよるが、手回しは30分~3時間程度、マイコン式は30分~8時間程度と任意の時間に設定できるタイマーを内蔵し、時間経過後に自動的に電源を切る機能を備える。
  • 高級品では、ワイヤレスリモコン付きの場合がある。赤外線が使用される前は、超音波や有線リモコンが使用された。

1970年代頃の機種の中には、自動停止機能「タッチストップ」付きのものもあった。本体にセンサーが内蔵されており、カバー部に素手で触れると安全装置が働き、回転が自動停止する、というものであった。このような機能が搭載されたものは長らく市場から姿を消していたが、2009年に三洋電機からタッチストップ機能付きの機種が発売されている。なお、2009年現在、タッチストップ機能を搭載したものは、三洋電機から発売されている1機種のみである。

  • 最近の扇風機は土台と切り離しが出来、とてもコンパクトに収納できる。

また、マイナスイオンを発生させるタイプや、リズム風、おやすみ風や1/fゆらぎ機能がついているタイプも存在している。とくにリズム風や1/fゆらぎは体の健康を重視していて、風量に強弱があるのが特徴である。

壁掛け[編集]

壁や柱にくぎやねじを打ち込み、そこに掛けて設置するもの。壁掛け扇(かべかけせん)とも呼ばれる。高所にあるため、首を斜め下に向けて使用する。また、操作には引きひも(プルスイッチ)や、リモコンを用いる。床に設置スペースをとらないので、邪魔にならない。

1980年頃に発売された壁掛け扇風機には、赤外線でなく超音波を使用したリモコンのものもある。

卓上・クリップ[編集]

小型の扇風機のうち、机の上に置くものは卓上扇(たくじょうせん)、大きな洗濯ばさみ状のクリップによって固定するものはクリップ扇(クリップせん)と呼ばれる。

  • 羽根は直径15cm程度と小さく、上下方向への角度調節ができる。
  • 左右90度の自動首振りができるもの、風量・羽根の回転速度は二段階程度の切り替えができるものもある。
  • 一部のメーカー製品では壁掛け扇になる場合もある。
  • シガーソケットを通して自動車の車内で使用できるものもあり、エアコンを使用するより低燃費であることを謳って販売している店舗もある。
  • USBでパソコンに接続して使用するものもあるが、電力供給能力の限界上、かなり小さなものになる。

スリム[編集]

タワーファンとも呼ばれる。ブロワーファンやクロスフローファン、シロッコファンを採用した、柱状の扇風機。

ボックス扇[編集]

その名の通り四角い箱に入っている。形は換気扇と似ている。

首振り機構は無く、その代わりにルーバーが回転する。

左右の角度調節は本体を動かすしかないが、上下は垂直から水平までできるものもある。

少し前には、青色の抗菌蛍光灯付きのものも発売された。

オート扇[編集]

サイクル扇とも呼ばれる、天井に固定して使用する扇風機で、銭湯や電車、駅のホームなどに取り付けられていた。

クランクなどを使用し、土台を軸にモーターを360°回転させる。大抵は、電源を入れると同時に旋回を始めるが、 古いものでは、紐やスイッチで旋回を停止させる機構がついているものもある。

ナショナルや日立はオート扇を使い、三菱電機はサイクル扇を品名に使っている。

携帯型[編集]

近年は電池駆動の携帯型も見られる。100円ショップなどでも入手可。

工業扇[編集]

工場などで使われる大型の物で、羽根の直径は45cm程度。小型のものもあり(羽直径10~20cm)、家庭での半田煙やラッカー塗料のガスを吹き飛ばすのに使用される。異臭やホコリ、チリを吹き飛ばすほど強力なタイプもあり、主に工場で用いられるが、ホームセンターでも容易に入手できるので、多くの人が集まる集会場や一般家庭で使われているケースも少なくない。

  • 電源は単相100Vや200V、三相200Vを使用することが多い。

天井扇[編集]

シーリングファンとも言い天井に取り付ける大型のもので直径は、1m前後である。軸が天井固定でモーター本体に羽根がついて回転する形式が多い。ハワイなど南国では一般的に使われている。照明と一体になったデザインのものもある。

冷風扇[編集]

冷風扇 を参照 冷風扇(れいふうせん)とは、水が蒸発する際に気化熱をうばうことを利用した、主に家庭用の簡易な送風機のことである。水冷式冷風機と称されることもある。

水冷エアコンは、同じく水を冷媒として使うため冷風扇と混同されやすいが、原理が異なる別物である。また、冷風機は名称・外観共に非常に冷風扇に似ており、売り場の係員も間違えるほどである。

規格[編集]

日本工業規格 (JIS) C 9601「扇風機」"Electric Fans" は、扇風機の形状・性能・安全基準・試験方法などについて規格化している。

扇風機の形状により、卓上用・座敷用・床上用・壁掛用・天井吊り下げ首振り形の5種類をまず定義している。座敷用と床上用はともに床置き形であるが、首の高さ調節機構による最大高さが1.3メートル未満のものを座敷用、それ以上のものを床上用としている。その他は前述のとおりである。このほか、「扇風機前方の風速分布が同心円状とは大きく異なる」[1]もの特殊形としている。

羽根の大きさは直径20・25・30・35・40センチメートルの5種類が定義されている。各大きさによる風速風量の最大およびその状態での消費電力の最大は以下の通りである。測定方法や条件、測定値の許容範囲等は規格による。

羽根直径 風速 風量 消費電力
20 cm 115 m/min以上 12.5 m³/min以上 35 W以下
25 cm 145 m/min以上 18 m³/min以上 50 W以下
30 cm 170 m/min以上 28 m³/min以上 65 W以下
35 cm 190 m/min以上 38 m³/min以上 80 W以下
40 cm 205 m/min以上 54 m³/min以上 100 W以下

その他[編集]

  • 転じてプロ野球で空振りを繰り返すバッターを揶揄する単語としても使用される。
  • (日本語訳不明)石油ランプによるスターリングエンジンを使った扇風機がホットエアーファンで、日本では馴染みが無いが米国では普及していた。電気扇風機の出現と送電網の発達で役目を終えた。

脚注[編集]

  1. JIS C 9601-1990より引用。

関連項目[編集]

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