ラッコ

提供: Yourpedia
移動: 案内検索

ラッコ

分類
界:動物界 Animalia
門:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
綱:哺乳綱 Mammalia
目:ネコ目(食肉目) Carnivora
科:イタチ科 Mustelidae
亜科:カワウソ亜科 Lutrinae
属:Enhydra
種:E. lutris

学名

Enhydra lutris

和名

 ラッコ

英名

Sea otter

ラッコ(猟虎、海獺、Enhydra lutris、英:Sea otter)はネコ目(食肉目) イタチ科 カワウソ亜科に属する哺乳類の一種である。体長は55-130cm、体重も40 kgを越すことがあり、イタチ科では最も大型の種である。千島列島アラスカカリフォルニア州などの北太平洋沿岸に生息している。分布の北限は北極海の氷域であり、南限はカリフォルニアのジャイアントケルプの分布の南限と一致している。「ラッコ」の名はアイヌ語の "rakko" に由来する。

生態[編集]

海上で生活し、陸に上がることはめったにない。交尾出産は海上で行う。一度の出産で通常1子(まれに2子)が生まれる。腹の上に仔を乗せながら、海上で仔育てを行う。

海中に潜りアワビウニなどを捕らえて食べる。水面で仰向けになり、腹の上に置いた石などに打ち付けることで、これら獲物の殻を割り中身を食べている。このような道具使用は霊長類を除く哺乳類では唯一の例である。海底に固着した貝を引き剥がすときにも、石を道具として使用することがある。大食漢であり、飼育下においては一日に体重の15%近くの餌が与えられているほどである(鳥羽水族館)。このため、ラッコの棲息する海域ではアワビ、ウニなどの高級海産物が大規模な食害にあい漁業関係者に深刻なダメージを与えているが、国際条約などで保護動物となっている場合が多いので地域の都合で駆除などができない。 アシカ亜目クジラ目ジュゴン目といった他の海生哺乳類は、分厚い脂肪層を持つことで海中で体温を奪われることを防いでいるが、ラッコはこのような脂肪層を持たず、「綿毛」と呼ばれる柔らかい下毛が1平方センチあたり10万本以上密生している。水中に潜るときでも、綿毛の間に含まれた空気が断熱層となり、防寒の役目を果たしている。防寒効果を維持するため、ラッコは頻繁に毛づくろいをし、毛皮を清潔に保っている。

ラッコの毛皮は保温力に優れ、柔らかな手触りを持つため、最高級の毛皮として珍重された。18世紀以降ロシア人極東に進出してきた理由の一つにラッコの毛皮採集が挙げられる。また乱獲が進んだため、20世紀初頭には絶滅寸前まで減少したが、1911年には国際的な保護条約が締結され、その後生息数は徐々に回復していった。絶滅危惧IA類(CR)環境省レッドリスト){{#ifeq:none|none||
ファイル:Status jenv CR.png
}}

{{#switch:{{{category}}} |none|off=|#default=}}に指定されている。

『シートン動物誌』によると、本来は海辺で生活する陸生動物であり、日光浴をしている群れをごく当たり前に見る事ができたらしい。その頃は人間に対する警戒心もなかったため、瞬く間に狩尽くされてしまい、現在のような生態になったと記されている。

1989年アラスカプリンスウィリアムス湾で超大型タンカー、「エクソン・バルディス号」が座礁し、27万バレル原油が流出するという事故があった。この事故によって約6000頭のラッコが死亡したとされる(少なくとも1016頭の死亡が確認されている)。ラッコはアザラシ等と比べると体が小さく皮下脂肪が相対的に薄いため、体毛が油で汚染されることで防寒効果が低下して凍死し、また毛の間に蓄えられた空気がなくなり浮力が減少して溺死したのである。

亜種[編集]

亜種として次の仲間がいる。

  • 「アラスカラッコ」アメリカ大陸生息
  • 「カリフォルニアラッコ」アメリカ大陸生息
  • 「クリルラッコ」アジア生息

歴史[編集]

日本では平安時代には独犴の皮が陸奥国の交易雑物とされており、この独犴がラッコのことではないかと言われている。陸奥国で獲れたのか、北海道方面から得たのかは不明である。江戸時代の地誌には、気仙の海島に海獺が出るというものと、見たことがないというものとがあり、当時三陸海岸に希少ながら出没していた可能性がある[1]

かつて北海道襟裳岬周辺などにはラッコが生息していたが、明治時代の乱獲によってほぼ絶滅してしまった。このため、明治時代には珍しい動物保護法「臘虎膃肭獣猟獲取締法(明治四十五年四月二十二日法律第二十一号)」が施行されている。現在でも時折、千島列島などから来遊してくるラッコが北海道東岸で目撃されることがあるが、定着するまでには至っていない。2003年頃から襟裳岬近海に一匹定着しているがウニなどを大量に食すので漁業被害が問題になっている。

ラッコを題材にした作品[編集]

  • 『いたずらラッコのロッコ』(著者:神沢利子、児童文学)
  • 『いたずらラッコとおなべのほし』(著者:神沢利子, 絵:長新太、児童文学)
  • 『海のけもの達の物語―オットセイ・トド・アザラシ・ラッコ』(著者:和田 一雄)
  • 『およげラッコぼうや』(著者:ナンシー・ホワイト・カールストローム,児童文学)
  • 『銀色ラッコのなみだ―北の海の物語』(著者:岡野 薫子、児童文学)
  • ぼのぼの』(著者:いがらしみきお)
  • 『ラッコの道標―ラッコが教えてくれた多様な価値観』(著者:中村 元)
  • 『ラッコ物語』(1987年 東宝映画)
  • 仮面ノリダー』(フジテレビ)石橋貴明扮するラッコ男が登場。

日本でラッコが見られる施設[編集]

日本における初のラッコの展示飼育は、1982年、伊豆・三津シーパラダイスによる。あまり大々的には宣伝がなされなかったためか、翌年(1983年)からの鳥羽水族館による飼育展示の方が一般には良く知られているかもしれない。

脚注[編集]

  1. 『封内土産考』、『仙台叢書』第3巻454頁。

参考文献[編集]

  • 里見藤右衛門『封内土産考』、1798年(寛政10年)頃。仙台叢書刊行会・編『仙台叢書』第3巻(1923年)に収録。

外部リンク[編集]

このページは Wikipedia日本語版由来のコンテンツを利用しています。もとの記事はラッコにあります。執筆者のリストは履歴をご覧ください。 Yourpediaと同じく、WikipediaGFDLのライセンスで提供されています。 コンテンツを再利用する際には同じくGFDLのライセンスを採用してください。