生涯未婚率

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生涯未婚率(しょうがいみこんりつ)とは、「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したもの。

生涯を通して未婚である人の割合を示すものではないが、50歳で未婚の人は将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われる。

現状

一世代前(1975年頃)では、20~34歳の女性の未婚率が3割程度であったのに対し、現在では約6割が未婚と既婚率の割合を逆転した。

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2011年)」によると、2005年の生涯未婚率は男性が15.96%、女性は7.25%。特に男性は2000年2005年の調査を比べると、約7ポイントも上昇している。また今後は、晩婚化(結婚の遅れ)や非婚化(生涯結婚しない人)の増加により、この数値がさらに高くなると予想される。2010年の「厚生労働白書」は、2030年時点での男性における生涯未婚率が29.5%になることに懸念を表明した。

生涯未婚の男性、2割を突破、30年で8倍(2012年5月)

50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、男性20.1%、女性10.6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達した。

政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。

1980年時の生涯未婚率は、男性2.6%、女性4.5%で、今回は30年前より男性が約8倍、女性が2倍以上に増えた計算。男女共に90年頃から生涯未婚率が急上昇している。

年代別の未婚率を見ると、25~29歳では、男性71.8%、女性60.3%だった。30~34歳は男性47.33%、女性34.5%。35~39歳は男性35.6%、女性23.1%。

現在日本が抱えている少子化問題の最大の原因である。

2030年問題

「2030年問題」は未婚や離別、死別による単身世帯の急増によって起きる。特に単身化が進むのは、その時期に中高年となる団塊ジュニア前後の男性である。60代で見ると、2005年に10%だった一人暮らしの割合は2030年に25%、女性も50、60代で単身化が進む。男女合わせた全世帯で一人暮らしは4割に迫る。

背景にあるのが未婚率の上昇である。2030年時点で生涯未婚率は男性は3割に、女性で2割を超えるとされる。1990年生まれの女性の場合、3分の1以上が子を持たず、半数が孫を持たない計算となる。

生涯未婚率上昇の原因

バブル崩壊以降の景気悪化

最大の原因は、デフレ不況の長期化による可処分所得の減少と失業率の増加である。

バブル崩壊の以降の景気悪化で、非正規雇用者であるフリーター派遣社員が増加。非正規雇用者は15〜24歳の男性の約46%、25〜34歳の男性の14%となった。

昔は、終身雇用年功序列といった現在の公務員のような制度が民間企業でも一般的であった。当時の収入は決して高くはなかったが、勤続年数が経過するごとに確実に収入が上昇していくことが保証されていた。結婚に関しても、それ以降の『未来像』が描けた時代であった。

しかし、今や正社員でさえ確実に給料が上がるのは難しくなってきており、成果主義の導入で収入格差が生まれ、景気の不安定さから長年勤めてきた会社に突然リストラを言い渡されて職を失う時代となった。

正社員でさえ将来が保証されていないなか、非正規社員であればなおさらである。2008年には、サブプライムローンを発端に起こった世界的な経済の混乱で、経済成長率がマイナスに転じ、それに伴い、派遣労働者や契約社員の再契約を停止する「派遣切り」が広がった。景況悪化による被害の第1波が出始めたとされ、非正社員は企業の調整弁のように扱われている現状となった。

そのような不安定な状態では『結婚』を躊躇したり先延ばしにする人がでるのは当然の流れであり、『晩婚化』、『非婚化』の原因となる。

需給のミスマッチ

経済的な問題として、ここ10年の間に30代の男性の年収は、「最も多い層」で見ると500万円台から300万円台へと移行している。一方、女性はと言えば、いまだに結婚相手の男性の年収にこだわり、よく参考にする山田昌弘(社会学者、中央大学文学部教授)の調査結果によると、都内の20代半ばから30代半ばの未婚女性の4割が「年収600万円以上の男性」との結婚を望んでいるが、該当する同年代の未婚男性は3.5%しかいない。

その理由は、年収が600万円程度ないと女性は安心して子どもを産めないことにある。女性は出産して育児をしながら仕事を続けることが難しいので、その期間無職になる可能性が高い。そのため一般に「自分の年収の倍」ぐらい稼ぎのある男性を求める。ちなみに「民間給与実態統計調査」では、年間を通じて給与所得のある女性でも7割は年収300万円以下である。

サラリーマン世帯であっても、専業主婦のいる世帯よりも共働き世帯のほうが多数派である。現実的にも、男性一人の稼ぎには頼りきれなくなってきている。しかし、一方で20代など若年女性ほど専業主婦志向が強まっている。

景気低迷や少子高齢化など諸々の条件を鑑みれば、今後パートナーとなる若年男性の昇給などの鈍化は避けられない。 女性は男性に経済的に依存する傾向があるが、男性からすれば「給料は頭打ちなのに、女性は金がかかる。子ができればなおさら。」女性からは「今の日本の社会で女性が自立して生きるのは不安。(子どもを産むために)早く結婚したいが、(経済的に依存できる)いい男性がいない。」という、意識のミスマッチが発生する。

一方、男性は自身の年齢が高くても、女性に若さを求める傾向が強い。しかし若い世代の日本人では男性の人口の方が多く、若い女性の人口自体が減っているにもかかわらず結婚相手に「若さ」を求め続ければ男性の未婚者は増大する。

さらに、社会人となった男女がグローバルな競争に晒され、不安定な身分や収入のもとにあるため、相手には以前にも増して「男らしさ(経済力や包容力)」「女らしさ(やさしさや癒し)」といった言葉に象徴される「安心」「安定」を求めるという矛盾が需給のミスマッチをさらに促進している。

経済格差恋愛格差 

この流れはこの10数年に急激に変化を遂げたため、女性がこの現状を受け入れられていないことがある。それは女性の結婚に対する意識の問題である。

女性は『男性に養ってもらう』といった結婚の感覚が今も根強く残っている。一昔前まではそうであり自分の両親がそうであった場合にはなおさらである。しかし、現在そういった男性を見つけるのは難しくなっており、なかなか自分の理想の男性が見つからず結婚する事ができない。そのため女性はモテる男性へ集中し、経済格差が恋愛格差までも生み出している。そして、基準に満たない男性と、高い倍率の男性に出会えない女性たちが結婚を遅らせる一因となっている。

2011年の婚姻件数は戦後最低

2011年は「震災で『絆』が深まり、結婚する人が増える」などと指摘された年だった。だが、蓋を開けてみると、1年を通しての婚姻件数は戦後最低。「結婚離れ」には歯止めがかからなかった。

2011年3月の震災後、「結婚件数が増えるのではないか」といった報道が相次いだ。その根拠として挙げられたのが、(1)結婚紹介所の会員が増えている(2)婚約指輪や「ゼクシィ」といった結婚関連雑誌の売り上げが伸びている、というものだった。

ところが、厚生労働省の2012年1月1日付けの人口動態統計(年間推計)によると、高まったはずの「結婚機運」は、実際の結婚には結びつかなかった。2011年の婚姻件数は前年比4.3%減の67万件の見通し。

婚姻件数は1970年代前半の約100万件をピークに減少を続けており、87年の69万6000件を底に、70万台で推移してきた。今回の67万件という数字は、戦後最低となる。

現時点では2011年8月分まで公表されている月ベースの統計でも、震災後に婚姻件数が前年同月を上回ったのは、4月と7月だけ。この調査によると、2011年の日本の人口の減少幅は過去最大の20万4000人で、出生数が死亡数を下回る「自然減」は5年連続。少子化で、「そもそも、結婚適齢期の人口が減っている」ことが背景にある。

また、国立社会保障・人口問題研究所が2010年6月に行った「出生動向基本調査」によると、18歳以上35歳未満の未婚者のうち、「一生結婚するつもりはない」と回答した男性が2005年の前回調査比2.3ポイント増の9.4%、女性は1.2ポイント増の6.8%にのぼっている。未婚者の「終身独身志向」が高まっていることも背景にある。

単身急増社会へ

大手電機メーカーを中心に、経営不振に苦しむ各社でリストラの暴風雨が吹き荒れている。2012年度に上場企業が募集した希望・早期退職者は、すでに昨年度の倍を超える数に膨れ上がっている。

各企業が自衛のため、正社員から非正規へと雇用を切り替えている。その余波で起きていること---それが「家族の崩壊」だ。

中央大学山田昌弘教授は『「標準家族」の維持は困難』と題し、バブルが崩壊した'90年以降に「家族崩壊」が始まったと指摘した。生涯未婚率や離婚の急増によって、'70年以降生まれの世代は配偶者と子供を持ち、経済的に安定した「標準家庭」を維持できない人が増大する。

みずほ情報総研主席研究員の藤森克彦氏も、こう論評する。

「結婚しないまま中年を迎え、一人暮らしをしている男性が急増しています。実際、50代、60代の男性の単身世帯数の推移を見ると、'85年~05年の20年間で4~5倍に増加しています。このままいけば2030年に50代、60代男性のおおむね4人に1人が一人暮らしとなるとみられています。これから『単身急増社会』が本格化していくのです」

単身世帯が増えているのには、次のような理由がある。

  • 非正規雇用で収入が不安定なため、結婚できない
  • パラサイトシングルで、親の収入にすがって生きているので自立できない
  • 大黒柱である父親が失職したことによって、家庭が崩壊する

いずれのケースにも共通するのは、経済基盤の弱さだ。それでは「家族の崩壊」の実例を見てみよう。

勤めていた工作機器メーカーが、大口取引先である自動車メーカーから取引停止を宣告されたことを受け、売り上げが激減。真っ先にリストラの槍玉に挙げられクビを切られるまでは、ごく平凡なサラリーマン家庭だった。

都心の職場から電車で揺られて1時間15分。35歳のときに5000万円弱で買った「我が家(郊外の3LDKのマンション)」に帰ると、高校生の長男と中学生の長女の「おかえり!」の声が聞こえてくる。一日で最もホッとする瞬間だ。

台所からは妻の声が聞こえる。妻とは職場恋愛だった。20代後半で転勤が決定したのをきっかけに結婚し、妻は長男を出産すると会社を辞めた。

互いの両親は要介護ではないが、それでも妻は事あるごとに様子を見に行ってくれている。専業主婦としてよく働いてくれていると思う。

年に1回は家族で温泉や海水浴に行く。定年退職した後は、愛車『プリウス』で妻と二人で日本全国を旅するのが夢だ。なんら不自由のない幸せな生活---それがリストラ退職によって暗転した。

なんとかなるだろうと思っていた再就職はうまくいかない。それでも割増退職金があったし、貯金もある。生活はなんとかなると思っていたが、妻は「耐えられない」「将来が不安だ」と言い出し、離婚を迫ってきた。

話し合いを重ねても、妻の気持ちは変わらず、結局離婚が成立。マンションから追い出され、資産も根こそぎ持っていかれた。その日以来、子供とも会えていない。

いまは都内のワンルームアパートで一人暮らしだ。派遣労働で生活は苦しく、1日1食、牛丼で済ます日もある。会社員時代の知人はクモの子を散らすように離れていったから、心を許して話せる相手もいない。

まさか自分が50歳を超えて、こんな生活に陥るとは。狭い部屋で一人、昔の家族写真を見返すと、涙が止まらない---。

この人物のように一度は結婚したものの、中年以降に離婚し、「一人暮らし」を余儀なくされている男性が増えている。実はかつて年間10万件にも満たなかった離婚件数はいまでは25万件ほどにまで増えており、日本はすでに3組に1組が離婚する「離婚大国」になっている。

「しかも、これから再び急カーブを描いて離婚件数が増加する恐れがある」

そう指摘するのは都内の離婚に詳しい弁護士だ。

「なぜなら、昨年の東日本大震災を受けて夫のだらしなさ、頼りがいのなさや将来不安に気付き、幻滅した妻が第二の人生を求める〝震災離婚〟が増えている。さらに今後は、〝不況離婚〟が爆発的に増える可能性も高い。製造業のリストラや給料カット、さらにはデフレ経済下でサービス業もボーナスカットを行っており、家計が好転する気配はない。そうした中で、生活苦にあえぐ妻が夫に見切りをつけて出て行くケースがすでにたくさん出てきている」

生涯一度も結婚せず、未婚のままという人もいる。生涯未婚率の推移は、いかに結婚しない中年男性が増えているかがよくわかる。

20年前は「約20人に1人」、10年前は「約10人に1人」と倍々ゲームで増え続け、直近では「約5人に1人」。さらに2030年には「約3人に1人」に達する勢いである。

前出・藤森氏が背景をこう指摘する。

「未婚の中高年男性が増えているのは、女性が経済力を高めたため、男性に頼らなくても一人で生きていける女性が増えていることが大きいと思います。また正規労働に就けない男性が、経済的に苦しく結婚できないケースも増えています」

かつて日本で「標準的」な家族の形だと考えられていた「夫婦と子供の世帯」がものすごい勢いで激減している。代わりに急増しているのが「単身(一人暮らし)世帯」で、2006年から「夫婦と子供の世帯」の数を「単身」の数が超えている。

日本がすでに「一人暮らし大国」になっていることを表しているのだ。

レンタル家族に頼る人々「年末に一緒に紅白見てほしい」

結婚しない人が増えている昨今。2030年ごろには、約4割が単身世帯になり「生涯独身」の男女は増える見通しだという。

単身者が急増しているが、人は一人では生きられない。それを実感しているのは、都内で単身者に「レンタルフレンド」や「レンタル家族」を派遣するサービスを行う、女性スタッフだけの便利屋「クライアントパートナーズ」社長の安倍真紀さんだ。

年末年始も休みなしで様々な依頼が舞い込んだ。「一人で年越しするのは寂しいので、一緒に鍋をつついて紅白を見てほしい」「初詣に一緒に行ってほしい」……。こんな依頼に、同社のスタッフが駆けつける。男性からの依頼には女性が2人で対応、部屋に2人きりにはならない仕組みで、基本料金は1時間約3千円~。これに加え1回の依頼で出張費3千円がかかる。

最近ではこんな依頼もあった。親と同居していた40代前半の独身男性から、最愛の母を看取る際、一人ではつらいので一緒に立ち会ってほしい。定年退職後の既婚男性からは、妻とはバラバラの生活なので、週1回は総菜を作りに来てタッパーに保存していってほしい。

「家族がいてもいなくても、本音で向き合い支え合える関係を持てない人が増えている。SNSでカッコイイ姿だけを発信してつながり合う友達はたくさんいるのに」(安倍さん)

初産年齢30歳超す「一生結婚しない」男女とも最高(2013年6月)

政府は25日の閣議で、2013年版の少子化社会対策白書を決定した。女性が第1子を出産する平均年齢が30歳を超え、生涯独身で過ごす人の比率「生涯未婚率」は男性20.14%、女性10.61%に達した。

これまで手薄だった結婚、妊娠、出産を支援する政策が必要と提起し、情報提供や地域医療体制の整備などを進める方向を示した。

白書の名称は2012年まで「子ども・子育て白書」だったが、政権交代を受けて変更した。

白書では厚生労働省の人口動態統計に基づき、女性の初産の平均年齢が2011年に30.1歳と初めて30歳を超えたと強調。初産年齢は上昇傾向が続き、2000年時点に比べると2.1歳上昇した。

生涯未婚率は2010年時点で、国立社会保障・人口問題研究所が調査したもの。同研究所の未婚者への意識調査では「一生結婚するつもりはない」と答えた人が男性9.4%、女性6.8%と過去最高になった。

46都道府県が申請。婚活支援「30億円」の呆れたプラン(2014年5月)

 頭の固い役人が考えそうなことである。政府は今年2月、2013年度補正予算で「地域少子化対策強化」として地方自治体の婚活を支援する助成制度をスタートした。予算規模は実に30億円で、都道府県に4000万円、市町村に800万円を交付する。沖縄以外の46都道府県が申請する人気ぶりで、順次、交付されているという。

これだけの予算があれば、ド派手な婚活パーティーが開けそうだが、自民党幹部から「税金で飲食させるのはいかがなものか」と立ち消えに。で、役人が鉛筆ナメナメひねり出したのは、トンデモプランのオンパレードとなった。

「結婚や家族のすばらしさを考えるフォーラムの開催」(山口県)、「毎月0の日を『ラブの日』、1日を『愛の日』とした結婚ポジティブキャンペーン」(香川県)、「結婚を希望する独身男女の情報一元化、結婚支援事業の実施」(富山県)、「結婚の意義、結婚後の生活設計などを考えるワークショップ」(三重県)…。

どだい「少子化問題に取り組んでますよ」という言い訳の制度だから実りがあるわけがないが、それにしてもひどい。楽しそうなイメージがどこにもないものばかりだ。結婚をためらう若者に、階段の上から「結婚はいいもんだ」と叫んでも伝わらないだろう。結婚・離婚カウンセラーの山崎世美子氏が言う。

「30億円はドブに捨てるようなものです。結婚→出産という順番を前提にして少子化対策をしようとするから、小難しいプランになる。本来は、政府は、子供を産んだ家族が暮らしやすい環境を整えることに予算を使うべきです。日本より先に少子化問題に直面した欧州が、いいお手本になります。保育所の設置はもちろんですが、勤務時間や税金など根本的な環境整備が必要なのです」

フランススウェーデンは結婚に関係なく社会保障を受けられるし、イギリスではフレックス制を幅広く導入して子育てしやすい環境を整えた。日本の婚活支援は視点がズレまくっている。役人の婚活講義を聞かされた若者は、それこそ結婚が嫌になるに違いない。

「若い女性の8割が消える」地方自治体の未来(2017年)

わずか7年後には、国民の3人に1人が65歳以上、23年後には自治体の半数が消滅――

急激に少子高齢化する日本には、次々と悲惨な事態が待ちうけている。近著で人口減少日本の現実を暴いた河合氏(『未来の年表』)と石破氏(『日本列島創生論』)が、日本を救う「カギ」について語り合った。

河合

今年4月、新しい「将来推計人口」が発表されました。高齢化や少子化のペースは従来の予想よりも少々緩やかになりましたが、50年後には総人口が9000万人を割るなど、そこで示された「未来予想図」は相変わらず厳しいものです。

石破

少子化・高齢化の大きな傾向は変わっていませんね。同じ4月には「生涯未婚率」も発表されていますが、こちらもなかなかショッキングな数字でした。50歳までに一度も結婚したことのない人が男性の4人に1人、女性では7人に1人もいるという。これでは出生率が高くなるはずもない。
未婚の人が増えている背景には、「見合い結婚」が消滅したこともあります。というのも、未婚の女性に話を聞いてみると、断られるのを怖がってか、「声をかけてくれる男性がいない」「男性が本気で交際を申し込まない」というのです。

河合

ひと昔前ならお見合いという手段が、多少強引にでも男女の出会いを演出してくれていた。戦前など、見合い写真だけで決めちゃう、なんていうこともありましたよね。

石破

そう。そんなやり方がいいとはあまり思いませんが、お見合いという仕組みが結婚を促進していたのは事実です。出生率を上げるためにも、独身の人がどうやって結婚相手を見つけるかが社会的な課題です。国の政策としては難しい面もありますが、誰かが仲人さん的な役割を果たすとか、出会いの場を増やしてあげないといけないのでしょうね。

河合

2020年には女性の過半数が50歳以上になります。つまり、出産可能な女性が大きく減り始めるということですから、少子化は今後も歯止めがかかりそうにありません。

石破

少子化の背景には社宅や官舎の減少もあると私は考えています。家賃が安い社宅や官舎は、まだ収入が多くない若い夫婦にとっては可処分所得を増やす機能があった。だからかつては若いうちに子供をもうける余裕がありました。ところが今は、企業や役所が社宅や官舎を削減しています。であるならば、ほかの手段で若い世代の可処分所得を増やしてあげないと、出生率は上がらないと思います。

河合

出会いの場としては職場も大きなファクターですが、「職場には結婚対象になる異性がいない」という人が、全体の4割になっているという調査結果も出ていますね。

石破

4割も……なぜそんなに高くなるんですか?

河合

就職氷河期と呼ばれた時代に若者を採用せず、非正規の労働者で対応してきたツケが出てきているからです。

石破

なるほど。就職氷河期の影響が若者の結婚問題、ひいては日本の人口問題に影響しているわけですか。

河合

人口問題については、ある時期に起きた出来事が数年後にどういう形で現実に跳ね返るかが予測できる側面があります。そこで私の最新刊『未来の年表―人口減少日本でこれから起きること』では、これから現実に起きうる出来事をカレンダー形式で体系的に示しました。たとえば、2018年に75歳以上人口が65~74歳人口を上回る、2024年に全国民の3人に1人が65歳以上になる、2039年には火葬場不足が深刻化する……。
こうした近未来の現実を踏まえないまま、政治家も官僚も議論していることが多いのです。何がこれから日本に起こるのかをまず明確に理解してから議論していかないと、一筋縄ではいかない人口問題は決して克服できません。

石破

世代間の温度差もあるのでしょうね。私たちの年代は、嫌な言葉ですが、「逃げ切れる」世代。年金でも社会保障でも、そのメリットを大いに享受できる。しかし、20代になる2人の娘世代を考えると、「彼女たちが生きてゆく時代は一体どうなっちゃうんだろう?」と、ゾッとします。
だから、私は最近「投票義務制」に関心を持っているんです。日本では18歳から投票権を付与されましたが、若年世代はともすると自らは投票権を行使しないのに、「高齢者がみんな勝手に決めて」と“シルバー民主主義”批判をしがちです。だけど、そんな彼らこそが人口減少時代の主役なんですから、きちんと投票して、彼ら自身に未来を決めてほしい。
そして政府は、彼らが正しい判断を下せるよう、人口問題についての情報を提供すべきです。いまは静かな有事。有事における情報発信こそがものすごく大切です。

河合

近未来についての正確な情報がないと、危機感の共有ができませんからね。誰もが人口が減っていく事実も知っている。だけど、それが実際どう進行してゆくのか、自分の子孫がどんな社会に生きていくのか、ということを知らなさすぎます。
たとえば『未来の年表』で書いたように、2025年をピークに、ついに東京都ですら人口が減少していくのですが、知る人はほとんどいないのではないでしょうか。

石破

私は週に3~4ヵ所ほど地方に出かけて、話をする機会があるのですが、そのときには「この町はね……」となるべく個別具体的な話をするように心がけています。どこに行っても最初は、「この町の人口は、2100年には○○人まで減るんだよ」と話します。するとちょっと驚いてくれるんだけど、すぐに「でもいいか……総人口の2割くらい減っても」なんていう反応になるんですね。
そこで、「総人口は2割しか減らないかもしれない。でも20代、30代の若い女性は8割減るからね」と言うと、さすがにギョッとするんです。子供を産んでくれる女性が8割も減ったら、町が成り立ちませんからね。ここまで説明していかないと、なかなか危機感を共有してもらえないんです。

河合

私が最近危惧しているのは、「AI(人工知能)やロボット技術が人口減少に伴う労働力不足を解決する」という論調です。この分野の技術革新をどんどん進め、大いに活用しなければならないのはもちろんですが、「AIやロボットで人口問題が解決する」というのは、楽観的すぎる。

石破

そう。AIやロボットが、労働力の面で人間を代替してくれることはあり得ないことじゃない。ただ注意しなければならないのは、ロボットやAIは税金を払ってくれないということ。ロボット1台に“ロボット税”をかける時代でも来ない限り、税収面でちっともプラスにはならない。
また、AIやロボットはモノを食べないし買わない。つまり、いくら仕事をしても消費しない。人間がしてきた労働をAIやロボットが代替していくと、国の財政や消費経済がどう影響を受けるかは未知数なのです。

いずれ、多くの仕事はAIやロボットに代替されるかもしれませんが、そのぶん新たなサービスを生まねばならない。私たちが子供の頃に熱中した『鉄腕アトム』では、「ロボットを追い出せ! 仕事を奪ったロボットを破壊しろ!」なんて、人間がロボットに敵意をむき出しにするシーンがありましたが、もうそれがマンガの世界じゃなくなりつつある。

河合

石破さんは地方創生担当大臣の頃から、「地方にこそ希望がある」と主張してこられた。近著『日本列島創生論―地方は国家の希望なり』(新潮新書)でもその主張を展開されていますが、拙著でも、「2040年までには全国の自治体の半数近くが消滅を避けられない状況になる」と書きました。改めて、なぜ地方に人口問題や少子高齢問題を解くカギがあると考えるのでしょうか。

石破

これについても出生率から考えてみましょう。都道府県で見れば(合計特殊)出生率が一番高いのは沖縄で、島根、宮崎、鳥取、熊本と続きます。一方、出生率最低は東京で、京都、北海道、宮城と続く。出生率は西日本、南日本が高いのです。
また、基本的に地方のほうが出生率は高いのですが、所得が高いわけではない。一番所得の多い東京の出生率が最も低く、一番所得が少ない沖縄が最も高いんですね。
では、出生率の高さは何と相関関係があるのか。この謎を探っていくと、どうやら一番相関係数が高いのは、平均帰宅時間と通勤時間なんです。東京や神奈川みたいに、往復1時間半も電車やバスに乗っていると自由に使える時間が減るので、子供をつくる機会も少なくなってしまうわけです。

河合

なるほど。まず、何が出生率に影響しているのかをもっと精緻に分析するべきだということですね。

石破

そうすると、まず何よりも、出生率の高い地方から出生率の低い東京に人が移る現象を食い止めることが、人口減少を緩和させる一つの決め手じゃないかと思います。
先日、真庭市(岡山県)の太田市長から「わが市の出生率が2.0を超えました!」とのお話を聞きました。真庭市は中山間地の町で、もともと林業が盛ん。その特長を生かし、CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)という高層建築も可能な木材の生産で、日本を代表する会社があります。
こういう将来性のある事業所を抱える地域では、若者が定着して出生率も上昇する。都会から離れていても、地方の努力によって出生率は間違いなく上がるんです。

河合

地方では最近、小学生や中学生に、「大学進学で東京に出ていくのは仕方がないが、卒業したら帰って来いよ」と、若者の帰還を促して地域を再生しようと取り組んでいる町が増えていると石破さんはおっしゃっていますね。

石破

そう、たとえば宮城県気仙沼市。ここは漁業の町ですが、いま気仙沼の小学生・中学生のうち54%もの子は、「大人になったら気仙沼に帰ってきたい」と言うそうです。
そこで「これは脈がある!」と踏んだ市は、子供たちに漁業を徹底的に学ばせようとしています。気仙沼には遠洋漁業もあれば沿岸漁業、沖合漁業、養殖漁業もある。さらに造船業や製氷業もあるというように、裾野が非常に広い。地元で働くことの生きがいや誇りを与えることが大事なんですね。
あるいは高知県の佐川町。ここでは町長が、中学生たちに町の総合計画の一部を書かせている。彼らがつくりたい町のプランを聞き、「そうか、じゃあ都会で勉強した後に、その町をつくりに帰って来いよ」と促し始めています。

河合

地方の若者が都会に出てくる一つのきっかけは、もちろん大学進学でしょう。そこでいま地方創生本部が、「東京に新しい大学をつくるな」と叫び始めていて、これが法規制される方向にあるのですが、私はどうも違和感を抱いてしまうんです。
坂本龍馬の例でもわかるように、若者というのは昔から都で勉強するもの。都会でたくさんの刺激を受け、いい仲間と出会う。それも大切な勉強の一つです。
大事なのは、勉強した後に地元に帰る場所があるかどうかじゃないでしょうか。やりがいのあるものが地元になければ、単に東京から大学を締め出しても、若者は地元に定着しません。地元の国立大学を卒業しても就職先は東京や大阪となるんだったら、意味のない対策になってしまいます。

石破

そう、大学は東京にあってもいい。そして地元に戻ってくれればいいんです。

河合

それから地方創生を考える時、「地方とは何なのか?」という議論が抜け落ちているように感じます。地方創生の「地方」というのは地方自治体のことなのか、あるいは人々の暮らすコミュニティのことなのか。ここがかなり曖昧なまま議論が行われている気がしてなりません。
地方創生とは、単に自治体を生き残らせるための方策であってはならないと私は思います。そうではなく、地域ごとの多様性によって国家の豊かさが織りなされているという事実を、もう一度見直す作業なのではないか。
それを考えるとき、いま地方の統治のあり方が揺らいでいるという問題に突き当たるんです。たとえば人口わずか400人の高知県大川村では、議員のなり手がおらず、村議会が成り立たない状況に直面し、「町村総会」による直接民主制が検討されています。
また衆議院の新区割りを見ると、既存の自治体をいくつかに分割しているところが100ヵ所以上出てきている。2050年には現在の居住地域の約20%が「誰も住まない土地」になるんです。
人口が減り、高齢者が増えて、人の移動がますますしづらい状況で、日本はどういう国を目指すべきなのでしょうか。

石破

おっしゃるように、既存の自治体がこのまま成り立つ必要はありませんが、統治の仕組みは必要です。ただそれは自治体をそのまま残すという意味ではなくて、コミュニティが残るという意味です。自治体を分解するとたくさんの集落になります。この集落が残っていくことが大切なのです。
島根県立大学の藤原眞砂教授の研究によれば、集落が生き残るためには年間1%の人が帰ってくればいいそうです。1%というのは、そんなに難しいことではないでしょう。その一方で、地方では、東京や大阪に出ていった人がいま何をしているのか、という追跡調査をほとんどしていない。都会で県人会に入っている人もごくわずかです。
出ていった人のその後を把握していれば、「帰ってこないか?」とUターンを促せる。都会に出ていく高校卒業時までに、自分たちの町の実態を知り、誇りを持てるような取り組みをやっていたら、帰郷する人も出てくると思うんですね。

河合

人口が減っていく社会では、従来以上にコミュニティを機能させていかなければならないわけですが、そこで発想の切り替えが必要になってくると思うのです。
日本は否応なしに縮んでいく。拡張路線でやってきた成功モデルを見直すべきです。でも、どうせ縮むんだったら戦略的に縮もうじゃないかという発想が必要。たとえば、「24時間社会」からの脱却や非居住エリアの明確化なども一つの選択肢ですが、石破さんは、どこから手を着けたらいいと思われますか。

石破

私が地方創生担当大臣の時には、「コンパクトシティ」と「小さな拠点」(コンパクトビレッジ)をそれぞれの自治体で考えてくださいとお願いをしましたが、やはりここから始めるべきじゃないでしょうかね。
高度成長期、都市部への人口集中に対応するため、山を切り開き農地を転用してニュータウンをたくさんつくりました。いまそれがゴーストタウンに変わりつつあって、維持するのは極めて難しいと思います。人が減っても道路や下水道は必要。採算の合わない公共インフラに投資を続けるのは困難です。ならば、コンパクトシティを目指さなくてはならない。
ニーズの乏しい住宅地は、いっそのこと「山林原野に戻す」という選択もあると思います。財政が破綻するだけだから、無理して大きな規模を維持しても仕方がない。
もう一つのコンパクトビレッジのほうは、中山間地の集落に対応するため、複数の集落に必要な診療所や保育所、商店やガソリンスタンドを集約しようというものです。憲法で保障された居住・移転の自由を制限することなく、中山間地の集落の維持を効率化しようという発想です。

河合

なるほど。人口減少の議論は現状への対応だけで解決するものではないので、次の世代、さらに次の世代へとつないで議論していかなければならないテーマです。中学生、高校生にこそ、この問題を真剣に考えていってもらいたい。

石破

実際、先ほど紹介した佐川町や、地方創生のモデルの一つとされる海士町(島根県)など活性化している地域では中高生の声を町づくりに反映させる取り組みが行われている。
「東京に行って出世する」というサクセスストーリーはもう古いです。地方に住んで、地元の特長を生かした町づくりに参加していったほうが豊かで幸せな人生を送れる、という事実に気づいてもらう―人口減少時代に地方が生き残るカギは、そこにあると思います。

日本の男性を蝕む「孤独という病」の深刻度

『孤独のすすめ』「ソロ活」『孤独のグルメ』……。

今、ちまたでは、「孤独」をポジティブにとらえる風潮が高まっているように見える。非婚化が進み、生涯未婚率は2020年には男性が26.0%、女性は17.4%、2030年には男性が29.5%、女性は22.5%まで上昇するとみられ、男性の約3人に1人、女性の4人に1人は生涯独身という時代を迎えようとしている。

孤独死などが社会問題になる中で、「孤独を過度に恐れるな、受け入れろ」といったメッセージに、安心感を覚える人も多いことだろう。確かに、人間にとって、「1人」でいる時間は重要だ。人との関係性に思い煩わせることなく、思索をめぐらせ、内省することで自分を高められる。一方で、過度な「ぼっち」信仰が、結果的に、日本人を「孤独」へと駆り立てているところがあるような気がしてならない。

今、世界で最も恐れられている「伝染病」。それは「孤独」だ。「社会的孤立が私たちを死に追いやる」「慢性的な孤独は現代の伝染病」……。欧米のメディアにはこんな見出しが連日のように踊る。

2017年8月には、アメリカ・ブリガムヤング大学のジュリアン・ホルトランスタッド教授(心理学)が、アメリカ心理学会の年次大会で、孤独の健康影響効果について発表し、「世界中の多くの国々で、『孤独伝染病』が蔓延している」と警鐘を鳴らし、社会的反響を呼んだ。

同年10月には、オバマ大統領の下でアメリカ連邦政府の公衆衛生局長官を務めていたビベック・マーシー氏が『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌上で、「孤独は深刻化する伝染病であり、その対処は喫緊の課題」という論文を発表し、大きな注目を集めた。

マーシー氏は任期中、アメリカ国中を視察して回り、「孤独がありとあらゆる年代や社会環境の人たちを蝕んでいる実態」を目の当たりにし、孤独こそが多くの健康・社会問題の根底にある、と喝破した。「病気になる人々を観察し続けてきてわかったのは、その共通した病理(病気の原因)は心臓病でも、糖尿病でもなかった。それは孤独だった」。アメリカの公衆衛生の最高指揮官のこの独白は衝撃をもって受け止められた。

実際に、海外では、「孤独」は人間の身体・精神の健康に甚大な負の影響をもたらすことが、数えきれないほどの科学的研究によって明らかになっている。日本では、一人で死んでいく「孤独死」については喧伝されているものの、長年の「孤独」によって心身が蝕まれる「孤独による死」についての理解はそれほど進んでいない。実はたばこや、肥満や、飲酒と同等に、時に、それ以上に命を蝕むもの。それが「孤独」なのである。

2017年10月にアメリカの女性3000人に対して行われた調査でも、その3分の1(32%)の回答者が、がんと診断されることよりも孤独を恐れていることがわかった。それほどまでに、「恐れられる」ものである「孤独」が、なぜか日本では肯定的に受け止められている。

特に、男性の場合、「男」「孤独」で検索すると、「いい男」「モテる」「かっこいい」「魅力」などと、ポジティブワードばかりが上がってくる。「男性は自立して、強くあるべき」という社会通念から、「群れない男がカッコいい」という「神話」が独り歩きし、男の孤高が極端にロマン視され、美化されている節がある。

問題は、英語では、孤独にはネガティブな意味の「Loneliness」とポジティブな意味合いを持った「Solitude」(一人で楽しむ孤独)があるが、日本では、その2つがごちゃ混ぜになっていることだ。ポジティブに、「一人」、自立した時間を楽しむことは必要だし、外向的、内向的な人、それぞれに「孤独」の与える影響は異なる。

しかし、「孤独は人生を豊かにする」「孤独が人を強くする」といった昨今の「孤独」礼賛は、「ぼっちライフ」を過度に推奨し、結果的に、「つながり」を求める人間の本能的欲求をそぎ、「黙って孤独に耐えるやせ我慢」を強いることになりかねない。

幸せな人生に最も必要なのは、「良い人間関係」。これは海外の多くの研究で実証されている。特に、被験者の人生を10代から老年期まで、75年間という長期間にわたり、つぶさに記録した、ハーバード大学の長期研究が有名だ。この研究を指揮してきた心理学者ロバート・ウォールディンガー氏はTEDトークの中で以下のように語っている。

75年にわたる研究から はっきりとわかったことは、私たちを健康に幸福にするのは「良い人間関係」に尽きるということだ。人間関係に関してわかったのは、周りとのつながりは健康に本当に良いということ、孤独は命取りであるということだ。家族や友達、コミュニティとよくつながっている人ほど、幸せかつ身体的に健康で、つながりの少ない人より長生きするということがわかった。

孤独は毒であり、孤立して生活している人はあまり幸せだと感じていなかった。中年期に入ってからの健康の衰えは早く、脳機能は早期から減退し、孤独でない人より寿命は短くなった。重大なのは、友人の数だけがものをいうのではなく、生涯を共にする相手の有無でもない、身近な人たちとの関係の質である。(筆者要約)

つまり、誰かといつも一緒にいなければいけない、結婚していなければいけない、ということではなく、パートナーや友人やコミュニティの誰かとつながり、本当に信頼し、支え合う関係性を築き、維持していくことができるかどうかによって、人生の質は大きく影響されるということだ。

しかし、ウォールディンガー氏いわく、「人間関係は複雑で込み入っており、家族や友達との関係をうまく維持していくのは至難の業。その努力は地味で、死ぬまで続く必要がある」と言うように、「孤独にならない生き方」は決して、楽に手に入るものではない。「定年退職後、いちばん幸福な人は仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人たち」とあるように、「孤独上等」と、引きこもることによって、幸福は得られるものではない、という主張だ。

実際に、「孤独」信仰を極め、長期間孤独を続けると、他者とかかわりを持つことがどんどんと苦痛となり、さらに孤立していってしまう。いったんはまるとなかなか抜け出せない「蟻地獄」のようなものだ。極端な「孤独」礼賛文化の下で、日本は世界に冠たる「孤独大国」になりつつある。

「孤独」はこれからの日本の大問題だ。昨今は、人生の後半戦は早々と、人間関係を整理し、孤独と向き合いながら、店じまいの準備を勧める声もある。しかし、人生50年、60年時代ならまだしも、人生100年時代に、退職後の30年も40年も、人と付き合わず、本ばかり読んで、引きこもったり、「終活」を続けたりするわけにもいかないだろう。

定年後の長い時間に必要なのは「終わるための活動」ではなく「元気にはつらつと生きていくための活動」であるはずだ。そのためには、「一人」を楽しみながらも、「孤独」を過剰にロマン視したり、畏怖するのではなく、適度に怖れる必要があるのではないか。また、40代、50代の内から、将来的な「孤独」について考え、その対策をしておくことも大切だろう。

特に、中高年の男性はさまざまな要因から「孤独」の犠牲者になりがちだ。というわけで、その負の影響や、なぜオジサンは孤独になりやすいのかを分析した『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書、2月10日発売)を執筆した。具体的な処方箋や明日から実践できるコミュ力改善法なども盛り込んだ「孤独にならない生き方」を探る対策本になっているので、関心をお持ちの方は手に取ってほしい。

対策

結婚しない人、できない人が増加しているなか、さまざまな対策を考える政府や自治体もある。政府では少子化担当大臣というポストを作ったが、何ら成果は出していない。女性閣僚のための名ばかり大臣となっている。

一部の自治体奈良県など)では、自治体自身が音頭を取って(正確には結婚相談所を生業とする企業に委託してだが)男女の出会いの場を設けるといったことを行っている。また、地方の商工会議所でも、会員に呼びかけて出会いのイベントを行っているところがある。このようなイベントは参加できる人がある程度限られるものの、営利を目的とせず、参加しやすいように工夫されている。

関連項目

外部リンク