生涯未婚率

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2012年5月2日 (水) 14:36時点におけるFromm (トーク | 投稿記録)による版

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生涯未婚率(しょうがいみこんりつ)とは、「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したもの。

生涯を通して未婚である人の割合を示すものではないが、50歳で未婚の人は将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われる。

現状

一世代前(1975年頃)では、20~34歳の女性の未婚率が3割程度であったのに対し、現在では約6割が未婚と既婚率の割合を逆転した。

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2011年)」によると、2005年の生涯未婚率は男性が15.96%、女性は7.25%。特に男性は2000年2005年の調査を比べると、約7ポイントも上昇している。また今後は、晩婚化(結婚の遅れ)や非婚化(生涯結婚しない人)の増加により、この数値がさらに高くなると予想される。2010年の「厚生労働白書」は、2030年時点での男性における生涯未婚率が29.5%になることに懸念を表明した。

生涯未婚の男性、2割を突破、30年で8倍(2012年5月)

50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、男性20.1%、女性10.6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達した。

政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。

1980年時の生涯未婚率は、男性2.6%、女性4.5%で、今回は30年前より男性が約8倍、女性が2倍以上に増えた計算。男女共に90年頃から生涯未婚率が急上昇している。

年代別の未婚率を見ると、25~29歳では、男性71.8%、女性60.3%だった。30~34歳は男性47.33%、女性34.5%。35~39歳は男性35.6%、女性23.1%。

現在日本が抱えている少子化問題の最大の原因である。

2030年問題

「2030年問題」は未婚や離別、死別による単身世帯の急増によって起きる。特に単身化が進むのは、その時期に中高年となる団塊ジュニア前後の男性である。60代で見ると、2005年に10%だった一人暮らしの割合は2030年に25%、女性も50、60代で単身化が進む。男女合わせた全世帯で一人暮らしは4割に迫る。

背景にあるのが未婚率の上昇である。2030年時点で生涯未婚率は男性は3割に、女性で2割を超えるとされる。1990年生まれの女性の場合、3分の1以上が子を持たず、半数が孫を持たない計算となる。

生涯未婚率上昇の原因

バブル崩壊以降の景気悪化

最大の原因は、デフレ不況の長期化による可処分所得の減少と失業率の増加である。

バブル崩壊の以降の景気悪化で、非正規雇用者であるフリーター派遣社員が増加。非正規雇用者は15〜24歳の男性の約46%、25〜34歳の男性の14%となった。

昔は、終身雇用年功序列といった現在の公務員のような制度が民間企業でも一般的であった。当時の収入は決して高くはなかったが、勤続年数が経過するごとに確実に収入が上昇していくことが保証されていた。結婚に関しても、それ以降の『未来像』が描けた時代であった。

しかし、今や正社員でさえ確実に給料が上がるのは難しくなってきており、成果主義の導入で収入格差が生まれ、景気の不安定さから長年勤めてきた会社に突然リストラを言い渡されて職を失う時代となった。

正社員でさえ将来が保証されていないなか、非正規社員であればなおさらである。2008年には、サブプライムローンを発端に起こった世界的な経済の混乱で、経済成長率がマイナスに転じ、それに伴い、派遣労働者や契約社員の再契約を停止する「派遣切り」が広がった。景況悪化による被害の第1波が出始めたとされ、非正社員は企業の調整弁のように扱われている現状となった。

そのような不安定な状態では『結婚』を躊躇したり先延ばしにする人がでるのは当然の流れであり、『晩婚化』、『非婚化』の原因となる。

需給のミスマッチ

経済的な問題として、ここ10年の間に30代の男性の年収は、「最も多い層」で見ると500万円台から300万円台へと移行している。一方、女性はと言えば、いまだに結婚相手の男性の年収にこだわり、よく参考にする山田昌弘(社会学者、中央大学文学部教授)の調査結果によると、都内の20代半ばから30代半ばの未婚女性の4割が「年収600万円以上の男性」との結婚を望んでいるが、該当する同年代の未婚男性は3.5%しかいない。

その理由は、年収が600万円程度ないと女性は安心して子どもを産めないことにある。女性は出産して育児をしながら仕事を続けることが難しいので、その期間無職になる可能性が高い。そのため一般に「自分の年収の倍」ぐらい稼ぎのある男性を求める。ちなみに「民間給与実態統計調査」では、年間を通じて給与所得のある女性でも7割は年収300万円以下である。

サラリーマン世帯であっても、専業主婦のいる世帯よりも共働き世帯のほうが多数派である。現実的にも、男性一人の稼ぎには頼りきれなくなってきている。しかし、一方で20代など若年女性ほど専業主婦志向が強まっている。

景気低迷や少子高齢化など諸々の条件を鑑みれば、今後パートナーとなる若年男性の昇給などの鈍化は避けられない。 女性は男性に経済的に依存する傾向があるが、男性からすれば「給料は頭打ちなのに、女性は金がかかる。子ができればなおさら。」女性からは「今の日本の社会で女性が自立して生きるのは不安。(子どもを産むために)早く結婚したいが、(経済的に依存できる)いい男性がいない。」という、意識のミスマッチが発生する。

一方、男性は自身の年齢が高くても、女性に若さを求める傾向が強い。しかし若い世代の日本人では男性の人口の方が多く、若い女性の人口自体が減っているにもかかわらず結婚相手に「若さ」を求め続ければ男性の未婚者は増大する。

さらに、社会人となった男女がグローバルな競争に晒され、不安定な身分や収入のもとにあるため、相手には以前にも増して「男らしさ(経済力や包容力)」「女らしさ(やさしさや癒し)」といった言葉に象徴される「安心」「安定」を求めるという矛盾が需給のミスマッチをさらに促進している。

経済格差恋愛格差 

この流れはこの10数年に急激に変化を遂げたため、女性がこの現状を受け入れられていないことがある。それは女性の結婚に対する意識の問題である。

女性は『男性に養ってもらう』といった結婚の感覚が今も根強く残っている。一昔前まではそうであり自分の両親がそうであった場合にはなおさらである。しかし、現在そういった男性を見つけるのは難しくなっており、なかなか自分の理想の男性が見つからず結婚する事ができない。そのため女性はモテる男性へ集中し、経済格差が恋愛格差までも生み出している。そして、基準に満たない男性と、高い倍率の男性に出会えない女性たちが結婚を遅らせる一因となっている。

2011年の婚姻件数は戦後最低

2011年は「震災で『絆』が深まり、結婚する人が増える」などと指摘された年だった。だが、蓋を開けてみると、1年を通しての婚姻件数は戦後最低。「結婚離れ」には歯止めがかからなかった。

2011年3月の震災後、「結婚件数が増えるのではないか」といった報道が相次いだ。その根拠として挙げられたのが、(1)結婚紹介所の会員が増えている(2)婚約指輪や「ゼクシィ」といった結婚関連雑誌の売り上げが伸びている、というものだった。

ところが、厚生労働省の2012年1月1日付けの人口動態統計(年間推計)によると、高まったはずの「結婚機運」は、実際の結婚には結びつかなかった。2011年の婚姻件数は前年比4.3%減の67万件の見通し。

婚姻件数は1970年代前半の約100万件をピークに減少を続けており、87年の69万6000件を底に、70万台で推移してきた。今回の67万件という数字は、戦後最低となる。

現時点では2011年8月分まで公表されている月ベースの統計でも、震災後に婚姻件数が前年同月を上回ったのは、4月と7月だけ。この調査によると、2011年の日本の人口の減少幅は過去最大の20万4000人で、出生数が死亡数を下回る「自然減」は5年連続。少子化で、「そもそも、結婚適齢期の人口が減っている」ことが背景にある。

また、国立社会保障・人口問題研究所が2010年6月に行った「出生動向基本調査」によると、18歳以上35歳未満の未婚者のうち、「一生結婚するつもりはない」と回答した男性が2005年の前回調査比2.3ポイント増の9.4%、女性は1.2ポイント増の6.8%にのぼっている。未婚者の「終身独身志向」が高まっていることも背景にある。

対策

結婚しない人、できない人が増加しているなか、さまざまな対策を考える政府や自治体もある。政府では少子化担当大臣というポストを作ったが、何ら成果は出していない。女性閣僚のための名ばかり大臣となっている。

一部の自治体奈良県など)では、自治体自身が音頭を取って(正確には結婚相談所を生業とする企業に委託してだが)男女の出会いの場を設けるといったことを行っている。また、地方の商工会議所でも、会員に呼びかけて出会いのイベントを行っているところがある。このようなイベントは参加できる人がある程度限られるものの、営利を目的とせず、参加しやすいように工夫されている。

関連項目

外部リンク